2026年7月18日・19日、インドネシア・ジャカルタで開催された 「RCRC – Right Clip, Right Clipping 2026」 にFacultyとして参加しました。
本会は、脳動脈瘤に対する顕微鏡手術、特にクリッピング術をテーマとして、アジア各国の脳神経外科医が集まり、治療戦略や手術手技について議論する国際的な教育プログラムです。脳動脈瘤に対するマイクロサージェリー、さまざまな剥離手技、複雑動脈瘤への対応、手術合併症への対処など、実践的なテーマについて活発な議論が行われました。
今回、日本からは旭川赤十字病院の瀧澤克己先生と私の2名がFacultyとして参加しました。瀧澤先生とご一緒させていただき、アジア各国を代表する脳血管外科医の先生方と、脳動脈瘤手術について意見を交わす大変貴重な機会となりました。
私は、**「Bypass-Assisted Clipping for Complex Intracranial Aneurysms」**というテーマで講演し、複雑脳動脈瘤に対するバイパス術を併用した治療戦略について、日本医科大学での経験を紹介しました。
複雑な脳動脈瘤では、通常のクリッピング術だけでは安全な治療が難しい場合があります。このような症例に対しては、脳への血流を維持するための脳血管バイパス術を組み合わせることで、より安全で確実な治療を目指すことがあります。
今回の講演では、中大脳動脈瘤をはじめ、通常のクリッピングが困難な動脈瘤や、血管内治療後の再発・治療困難例などを取り上げ、STA–MCAバイパスやhigh-flow bypassを含めた血行再建術と脳動脈瘤治療について発表しました。
また、複雑脳動脈瘤をテーマとしたセッションではモデレーターも務め、各国の先生方と手術適応、クリッピング手技、困難症例への対応などについてディスカッションを行いました。
学術的な交流だけでなく、会期中には各国の先生方と夕食をともにする機会にも恵まれました。手術や研究の話はもちろん、それぞれの国における脳神経外科診療や若手医師の教育についても話が広がり、親交を深めることができました。アジアの第一線で活躍する脳血管外科医の先生方と直接交流し、新たなつながりを築けたことも、今回の大きな収穫の一つでした。
近年、脳動脈瘤治療ではコイル塞栓術やフローダイバーターなど血管内治療が大きく進歩しています。一方で、病変の形態や血管構築によっては、クリッピング術や脳血管バイパス術といったマイクロサージェリーが重要な役割を担う症例もあります。
今回、海外の脳血管外科医と治療経験や手術手技を共有し、さらに国を越えた交流を深めることで、改めてこれらの技術を次世代へ継承し、発展させていくことの重要性を感じました。
今後も日本医科大学脳神経外科から、複雑脳動脈瘤に対する高度な外科治療、脳血管バイパス術、そして研究・教育活動について国内外へ積極的に発信するとともに、海外施設との交流もさらに深めていきたいと思います。
