脳神経外科医亦野文宏(またのふみひろ)

これから脳神経外科医を
目指す方へ

脳神経外科は、高度な判断力と精緻な手技が求められる分野です。
同時に、若いうちから実力を伸ばし、国内外で活躍できる可能性に満ちた分野でもあります。

私たちの医局が大切にしているのは、
【自己実現のサポート】【若手が主役として活躍できる環境をつくること】です。


若手が活躍できる医局

当医局では、若手医師が積極的に、臨床・研究・学会発表に取り組んでいます。

手術

手術に関しては、徹底した教育と術前・術後の検討を重視しています。
手術前には必ずプレゼンテーションを行い、病歴の整理、詳細な画像読影に加えて、術野シェーマを作成(所謂お絵描き)したうえで手術に参加してもらいます。

この術前シェーマ作成は、単に手術を見学するのではなく、解剖構造やアプローチをより深く理解し、本気で手術を考えるための重要なプロセスです。
術前に自分が描いたイメージと、実際の術野とを比較することで、どこが異なっていたのか、どこに理解の不足や誤りがあったのかを明確にすることができます。

私たちは常に、
「最初から最後まで自分で執刀するつもりで準備をすること」
の重要性を若手医師に伝え、徹底した予習を求めています。
この積み重ねがあることで、実際に執刀の機会が巡ってきた際に、確かな判断力と技術をもって手術に臨むことができ、大きな成長につながると考えています。

手術後には、手術動画を編集し、手術全体の流れや重要なポイントを改めて確認します。
さらに、術後シェーマによる振り返りを行い、
「どこが術前のイメージと違っていたのか」
「次回はどのように工夫すべきか」
を言語化・可視化します。

この一連のプロセスを毎回繰り返すことで、やがてシェーマを描かなくても、術野や重要な解剖構造が自然と立体的に頭の中に思い描けるようになることを目標としています。
それこそが、脳神経外科医として自立していくための重要な到達点だと考えています。

学会発表、研究

専攻医1年目から学会発表はしてもらっています。抄録やスライドの作成など、指導医が濃厚に指導します。

また

国内学会にとどまらず、海外学会での発表を強く後押ししており、
実際に多くの若手医師が国際学会で発表・討論を経験しています。

英語での発表や質疑応答は決して簡単ではありませんが、
早い段階から国際舞台に立つことで、

  • 自分の実力を客観的に知る
  • 世界基準の考え方を身につける
  • 将来の留学や共同研究につなげる

といった大きな成長につながっています。

「若手のうちから世界を見る」
これを強力にサポートしていきます。

<国際学会で発表している若手の先生(SNS in Finland: 藤田先生、鶴谷先生、園田先生>


海外留学で得た経験を、次世代へ

私は2019年から約3年間、フランス・パリにあるラリボアジエール病院脳神経外科に留学しました。
同院では、“神の手”と称されるセバスチャン・フローリッシュ教授のもと、頭蓋底腫瘍手術を中心に直接指導を受けました。
フランスでは、脳神経外科手術が限られた高度専門施設に集約されており、さらにフローリッシュ教授の国際的評価も相まって、ヨーロッパ各国から患者が集まります。
その結果、短期間で非常に多くの知識を吸収するとともに、日本では経験する機会の少ない高難度症例を数多く経験することができました。
渡仏当初はフランス語の習得に苦労しましたが、必要な資格を取得した後は、現地の臨床医として手術および診療にも携わりました。
この留学を通じて学んだのは、手術手技そのものだけではありません。
高度な手術解剖に基づく判断力、高難度症例に対する治療戦略、チーム医療のあり方、医療制度や文化の違い、そして何よりも、手術によって患者を救うというフローリッシュ教授の世界トップレベルの情熱でした。 現在は、これらの経験を日常診療や教育の中で共有し、若手医師がより高い視点を持って臨床に向き合えるよう意識しています。
若手医師が将来、国内外を問わず活躍できるよう、視野を広げる一助となることを目指しています。


実技を重視した教育 ― 年4〜5回のハンズオン

当医局の大きな特徴の一つが、実技教育の充実です。
毎年4〜5回、以下の分野を中心としたハンズオンセミナーを開催しています。

  • 血管吻合(マイクロサージェリー)
  • 頭蓋底・頭蓋骨の骨ドリリング
  • 内視鏡手術
  • カテーテル治療
  • 術前シェーマ作成講座

これらのハンズオンでは、若手医師が実際の手術を想定した環境で手技を学び、
手の使い方、視野の作り方、器具操作の基本から応用までを段階的に身につけることを目的としています。

単に手技を体験するだけでなく、
なぜその操作が必要なのか、どこに注意すべきか、臨床でどう生かされるのか
指導医と確認しながら進めることで、日常診療や手術への理解を深めていきます。

これらの継続的な実技トレーニングを通じて、
若手医師は手術に対するイメージを具体化し、
将来、実際に執刀する場面を見据えた確かな基礎力を養うことができます。


5min Championship ― 若手が競い、伸びる場

血管吻合技術の向上を目的として、当医局では
**「5min Championship(血管吻合コンテスト)」**を定期的に開催しています。

本コンテストは、医師経験10年目以下の医局員が一堂に会し、実際の手術用顕微鏡を用いて、直径1mmの人工血管に対する吻合操作を5分間で行う形式です。
参加者は互いの手技を直接観察しながら、自身の技術を披露します。

評価は、血管外科・脳血管手術に十分な経験を有する複数名のエキスパート医師が、
改良型OSATS(Objective Structured Assessment of Technical Skills)に基づき、
準備、顕微鏡操作、手の安定性、針操作、血管壁への配慮、縫合の流れなどを客観的に採点します。
この評価法は、長期間・同一評価者による継続的評価の有効性を論文で発表しています。

さらに、本コンテストの特徴として、全手技を動画記録し、翌週に参加者全員で動画を視聴しながらリフレクション(振り返り)セッションを行います。ここでは、各自の強みや改善点を共有し、具体的なフィードバックを通じて、技術を次のレベルへ引き上げることを目的としています 。

この取り組みは単なる競技ではなく、緊張感のある環境下での実技評価と、継続的な技術向上を可能にする教育システムとして位置づけられています。
実際に、この仕組みから、全国規模の血管吻合コンテストで優勝者を輩出しており、
当医局のトレーニングレベルの高さを示す成果の一つとなっています。

競い合いながらも互いの技術を学び合い、チーム全体でレベルアップしていく文化が、当医局には根付いています。


若手一人ひとりの「なりたい姿」を尊重

脳神経外科医としてのキャリアは、一つの型に当てはめられるものではありません。
当医局では、若手医師一人ひとりの志向やライフステージを尊重し、
主体的にキャリアを描ける環境づくりを大切にしています。

例えば、

  • 臨床の第一線で手術技術を磨きたい
  • 研究にも力を入れ、学術的なキャリアを築きたい
  • 海外留学や国際学会での発表に挑戦したい

といった多様な目標に応じて、指導や機会を柔軟に提供しています。

また、妊娠・出産、育児、家族の介護など、医師としてのキャリアの途中でライフイベントを迎えることは決して特別なことではありません。
当医局では、そうした状況に応じて、

  • 時短勤務
  • 当直免除・当直回数の調整
  • 外来・研究・教育業務を中心とした勤務形態

などを選択することも可能です。

その時々の状況に合わせて無理のない働き方を選び、再びフルタイムに戻ることも含めて、長く脳神経外科医として活躍できるキャリアを支援しています。
一人ひとりが自分らしい形で成長し、チームの一員として力を発揮できることが、医局全体の力になると考えています。


脳神経外科を志す皆さんへ

脳神経外科は、決して容易な分野ではありません。
高度な判断力と確かな技術が求められ、日々真剣に自分と向き合う姿勢が必要です。
しかしその分、積み重ねた努力が確実に実力として形になる分野でもあります。

当医局では、若手医師が早い段階から臨床や研究、学会発表に関わり、
実技教育やハンズオンを通じて、手術に必要な基礎力を着実に身につけていきます。
また、海外学会での発表や留学など、国際的な挑戦にも積極的に取り組んでいます。

一方で、医師としてのキャリアは、仕事だけで成り立つものではありません。
妊娠・出産、育児、家族の介護など、ライフイベントを迎える時期は人それぞれです。
当医局では、そうした状況に応じて勤務内容や役割を調整し、
無理なく脳神経外科医としてのキャリアを継続できる環境を大切にしています。

  • 若手のうちから活躍したい
  • 世界を舞台に挑戦したい
  • 手技を本気で磨きたい
  • そして、長く脳神経外科医として歩んでいきたい

そうした思いを持つ方にとって、
当医局は成長と継続の両立を目指せる場であるはずです。

若手が中心となり、互いに刺激を受けながら学び、
チームとして高難度医療に向き合い、世界に挑む。

その一員として、ぜひ一緒に歩んでいきましょう。